い草ってなぁ~に?Vol 2

北九州市立大学准教授/農学博士
森田  洋
http://www.kitakyu-u.ac.jp/env/subject/d-life/Hiroshi_Morita/index.html

水虫・・・聞いただけでかゆくなりそうですが、日本人の4人に1人が水虫という報告もあるほど、現在大きな社会問題となっています(特に近年女性の水虫が増えているそうです)。
水虫の原因は白癬菌(はくせんきん)と言われるカビが皮膚に感染することにより引き起こされる皮膚真菌症であります。この白癬菌にはトリコフィトン属菌やミクロスポルム属菌がおり、高温多湿な環境を好む性質があります。白癬菌は人体の様々な部位に感染するものですから、私たちを悩ます菌の一つとなっています。実はこの白癬菌。い草の抗菌パワーでやっつけることができます。
このような実験を行いました。まず5%のい草を寒天と混ぜたもの、そしてい草を加えず寒天だけのものを2種類用意しました(寒天には栄養分を入れています)。これをそれぞれシャーレに注いで固めて、それぞれに白癬菌を接種し、微生物が増殖しやすい30℃で5日間培養しました。
その結果が下の写真です。左側はい草を加えていないもの、右側はい草を5%加えたものです。どちらにも白癬菌を同じように植えていますが、い草を加えないものは白い白癬菌が一面に生えていますが、い草を加えているものは白癬菌が全く生えていません。このことからい草は白癬菌に対して抗菌効果があることが明らかとなったのです。フローリングにはこのような効果はありません。ですからフローリングでは家族の誰かが水虫だったときに、感染の恐れが大きいものと考えられます。それに対して、畳は白癬菌に対し抗菌効果があるので、「畳は水虫の感染を抑える素材」といえるのではないでしょうか。畳はすばらしい敷材ということになります。
右側が「い草」を入れたシャーレ。

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