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今、頑張っている畳を応援しましょう!Vol 2

畳は天然素材ですから、身体にとても優しくて心地良いです。反面、その特性に頼り過ぎてしまうと疲れ果ててしまいます。
この季節、皆さんが家の中で一番気になるのは水廻り・畳の【カビ】ではないでしょうか?なぜ水廻り・畳のカビが気になるんでしょうね?それは目に見えるからなんですね。「畳がカビちゃって・・・」と言うお話をお客様からよく聞きますが、実はカビが見えると言うのは水廻り・畳からのメッセージなんですね! 「湿気や汚れ・ゴミ等が溜まりつつありますよ!他のいろんな所にもっと悪い影響が出てしまわない今のうちに、そろそろお手入れして下さいね!」って言うサインなんですね。例えば梅雨入りから残暑が治まる頃までエアコンを使いますよね?何年もフィルタークリーニングを忘れたままだとしたら、許容範囲を超えた雑菌を毎日撒き散らしている事になってしまいます。畳のカビは見えるからまだ安心です、直ぐ何らかの対応を取りますからね。水廻り・畳にカビが出たという事は普段、目に見えない部分・手の届かない部分にカビが発生していますよって、住む人に教えてくれているんですね!
そうなんです、畳は室内環境を住む人に知らせてくれる【バロメーター】でもあるんですね!!
これも畳の持つ天然の機能の一つです。
畳の材料【い草】には、様々な菌に対して抗菌効果がある事が北九州市立大 森田 洋準教授の研究によって明らかになりました。でもカビ菌に対しては抗菌作用が無いんです。古代より【い草】は室内環境のメッセージを発し続けるために、カビ菌に対する抗菌効果をい草自身が、あえて外したのかも知れませんね。い草にはロマンがあります。

今、頑張っている畳を応援しましょう!Vol 1

さて、梅雨も本番へと差し掛かって来ましたね!蒸し熱い日が続きます。7月に入ると、湿度に気温上昇がプラスされるからです。そろそろ室内がカビっぽくなって来ているかと思います。そもそもカビはどんな条件で発生するんでしょう?答えは「温度+湿度+栄養+酸素」、この4つの条件が合致した時に発生すると言われています。逆に、4つの条件の内1つでも除外する事が出来れば、カビの発生を抑える事が出来るとも言われています。どれなら除外出来そうでしょう?
 先ず酸素はコントロール出来ないですよね!?次に温度。カビが活動を始める温度は10℃~35℃。一番活発に活動するのは25℃前後と言われています。人間が暮らす温度と同じなんですね。したがって、温度もコントロール出来ませんね!?
次は栄養です。カビは有機化合物と言われる自然、人工のものを問わず、すべての物質が栄養素になると考えられています。例をあげればチリ、ホコリ、あか、フケ、食べこぼしなど、人間が生活していれば普通に出てしまうほとんどすべての物質が栄養源になってしまいます。カビ菌(胞子)自体はいつでも空気中に浮遊しています。空気中のカビの菌(胞子)は、空気の動きが無い所の物質に付着(落着)して、適当な水分や温度・栄養条件が揃うと出芽し始め、菌糸(根っこ)を伸ばして生育し始めます。目に見えるカビは、出芽した胞子を見ているんですね。カビにとっての栄養を厳密にコントロールする事はなかなか出来ませんが、こまめなお掃除を実践する事で、ある程度栄養源をコントロール出来るんですね!
最後に湿度です。日頃から天気の良い日の換気が肝心ですが、梅雨時期に換気はなかなか難しいです。そこで除湿機・エアコンのドライ機能等の活用が有効になって来ます。湿度はコントロール出来ますよね!
 以上の様な事から、湿度のコントロールとこまめな室内の清掃を実践して、ホコリやチリなどカビの栄養素を無くす事さえ出来れば、薬品等に頼らずにカビの発生を抑えることが可能になるんです。実は普段からの生活スタイルが一番のカビ予防対策なんですね!

裏返しのススメ・・・

畳替えの種類は大きく分けて3種類あります。畳全部を新しくする【新畳】。畳床はそのまま使い、畳表と畳縁を新しくする【表替え】。現在使っている畳表を外してその裏側を張り直して、畳縁は新しくする【裏返し】。画像は5年前に表替えをされたお客様から、裏返しのご依頼を請け作業をした時の様子です。裏返しは一度だけ出来ます。一般的に裏返しのタイミングは5年目あたりから考えて下さい・・・、と言われています。今回のお客様の場合、理想的なタイミングと言えますね!ほとんど傷みが無く、裏側の色も新品と変わらぬ色合いを維持しています。当たり前ですが、裏返しは速い程キレイニになります。痛み過ぎてしまう前に、早めの裏返しがポイントと言えます。裏返しえをした後、何年使うかはお客様次第となります。極端に言えば、穴があくまでお使い頂けます。二度目の裏返しは無い訳ですからね。当店のお客様の80%が痛み過ぎて裏返しが出来ないんですね。実にもったいないです。お買い上げ頂いた新しい畳表を表裏フルに使えるのが裏返しの魅力です。畳表はリバーシブルなんですね!価格(畳加熱乾燥等がセット)もリーズナブル、畳替えのご経験の無い方にとっても入りやすい工事です。
 でも5年を過ぎたからと言って、裏返しを諦めてしまうのは早いですよ。傷み具合・材料の質・仕事のクオリティー次第で、十分裏返しが出来るケースがあります。年数が経過すればその分色は褪せて行きますが、気になさらなければ表面の【ささくれ】は無くなります。お使いの畳がどんな状況なのか?、裏返しが可能なのか?裏返した後、どのくらい使えるのか、お客様が判断出来ませんよね?その時は職人気質を便利にご利用下さい。現況判断・アドバイス・お見積りまでなら無料です(日光市近郊)。今後のご検討・ご予算計画等の目安にして頂ければと思っています。お気軽にご相談下さいね!

床板も風通し、乾かせますね!外す事が出来る所も畳の特徴なんですね!

仕上がりました。新品と変わりませんね!

外から見てもキレイな畳って気持ちいいです。

絶景かな・・・

畳縁はサービス品を選ばれました。

梅雨から夏は畳が頑張る季節なんですね!Vol 6

畳のベイクアウト(加熱乾燥)実験結果(トルエン)のグラフです。
ベイクアウトする事で吸着した化学物質を放湿して、再び畳の化学物質吸着能力が回復する事を表していますね!でも、畳の化学物質吸着機能にもおのずと限界があります。畳は取り外しが出来る・張替えが出来る唯一の床材・建築部材ですから定期的に畳替えをする事で、快適で安心な住環境を維持する事が出来るんですね!畳が発祥した1300年前には、既に畳は張替えをする事を前提にその作り方が確立されていました。先人はその時代すでに、畳の機能を知っていたのかも知れません。畳にもロマンがありますね!
 以上、畳を科学的見地から機能分析した結果、室内の【湿度調整】【有害物質吸着】って言う優れた機能を発揮している事が明らかになりました。住む人の知らない所で、住む人の健康・快適のために、ず~っと頑張ってくれているんですね!

梅雨から夏は畳が頑張る季節なんですね!Vol 5

畳のもう一つの【空気清浄機能】、室内にある建材・家具・接着剤等から出る揮発性化学物質:VOC吸着機能をご紹介します。
先ず下のグラフは、同じ環境の部屋に畳が敷いてある場合と敷いていない場合のVOC(揮発性化学物質)の種類と濃度を比較したものです。この実験では実に52.4%も減少していますね!畳が吸着してくれているんですよ。

ただ畳はVOCに関しては、吸着はしますが二酸化窒素のように分解までは出来ません。そこで有効となるのが【ベイクアウト(畳乾燥処理)】なんですね。VOCは温度30~35℃から揮発し始めます。畳乾燥機は室温85℃~90℃で2時間乾燥殺菌しますから、畳乾燥と同時に畳が吸着しているVOCをはき出させる事が出来ます。特に、裏返しには絶対省けない重要なひと手間なんです。だから畳乾燥機は汚れた室内空気を外に出し、常に新鮮な温風で乾燥する熱交換方式を採用しているんですね!畳乾燥処理で大切な事は納品時にはキチンと畳をクールダウン(常温まで)する所です。微量でもVOCが残っていた場合、畳が熱いままだと揮発が続いている可能性があるからです。クールダウンする事で揮発環境には蓋をして、吸着機能だけを継続させるんです。念には念を入れる事で、畳の機能が再び元気を取り戻し頑張ってくれるんですね!

梅雨から夏は畳が頑張る季節なんですね!Vol 4

次に畳(い草)の持つ【空気清浄機能】を一つ一つご紹介します。
下のグラフでは、室内にある様々な部材の室内空気に含まれる有害物質・二酸化窒素吸着能力を比較しています。畳の圧倒的な吸着力が明らかですね!い草は単に吸着するだけでは無いんですよ、まだまだ凄いんですよ!い草内部のバクテリアが吸着した二酸化窒素を分解してくれるんです。畳は住む人の知らない所で、住む人の健康のために、毎日毎日頑張ってくれているんですね!

梅雨から夏は畳が頑張る季節なんですね! Vol 3

畳の持つ優れた調湿機能の実験結果をグラフにまとめました。
このように、畳は常にお部屋の湿度を40%に保つ性能を元から備えている事がわかりますね!
40%を境に室内湿度が上昇すれば吸収し、下降すればはき出してくれるんです。
恐らくこれまで長い間生存し続けて来た過程で、い草と藁自身が生きるために備えた機能なのかもしれませんね。人に優しいのは、必然と言えるのではないでしょうか?
昔、日本家屋には畳がたくさん敷かれていました。各部屋ごとに畳の機能が発揮されていました。でも現代は建築様式・生活様式やライフスタイルが変化して、全ての部屋が畳敷きと言うのもかえって暮らし難いと思います。
畳が少なくなった現代家屋だからこそ、畳はより一層フル回転で頑張っているんですね!

梅雨から夏は畳が頑張る季節なんですね!Vol 2

では、畳の優れた調湿機能の構造をご紹介しますね。
下の画像は「い草」の断面画像です。(画像提供:日本女子大学理学部 南澤明子先生)
先ず断面を見ると中がスポンジ状になっています。肉眼でも確認できます。このスポンジ状が優れた調湿機能の源なんですね!湿気を吸収してくれる部分です。また空気中の有害物質NO2(二酸化窒素)をも吸着、バクテリアが分解してしまうんですよ!
また側面を見ると、い草の表面に細かい縦の筋が確認できます。この筋と一本一本の織りの凸凹によって、特有のサラッとした肌触りになるんですね!

天然い草カラー断面画像(画像クリックで更に拡大!)画像提供 ㈱西谷

次に、藁(わら)の断面です。(画像提供:日本女子大学理学部 南澤明子先生)
藁の一本一本は中が空洞でストロー状になっていて、たくさんの空気層を持っています。畳の持っている強い弾力性・心地良いクッション性・耐久性・吸音・遮音効果・吸湿性・断熱性は、この藁の構造によって生み出されているんですね!この藁を30kg前後、縦横に配して圧縮し縫い付けた物が畳床(藁床)です。いやぁ~、自然のパワーって本当にすごいですよね!!

このように、畳はそれぞれの持つ優れた個性で作られている複合構造体なんです。
私たちの暮らしは、実はこんなに素晴らしい自然のパワーに包まれていたんですね!

梅雨から夏は畳が頑張る季節なんですね!Vol 1

畳は室内部材の中で、抜群の調湿性能を持っています。板材や新建材が多く使われるようになった現代では、一層フル回転をしています。余り知られていませんが実は、畳1枚(藁床)でなんとバケツ3杯分の水分を吸収する能力を持っていると言われています。6畳なら18杯分にもなりますね!元来畳は高温多湿の日本の気候風土を快適(より涼しく)に過ごす為の寝床(ベッド)として生まれました。蒸し暑い、寝苦しい夏に畳に触れた時のサラッとしたヒンヤリ感は、日本人なら誰もが認める所だと思います。発祥してからおよそ1300年、現代まで畳が受け継がれている一番の理由なんですね。海水浴に行くとゴザを売っています。あれはい草で出来ている物が多いんです。サラッとしますよね?カラフルだけどビニールシートはベタベタ居心地が悪いですよね?
 そんな優れた畳の機能にもおのずと限界はあります。現実にはバケツ3杯の水分を含んだ畳では暮らせませんよね。限界に近付いて行く過程で、様々な問題が起きてしまいます。ですから限界に近づかないように普段からの管理が必要になります。畳は天然素材ですからね!
湿気の室内侵入は外気からばかりとは限らないんです。キッチン・お風呂・洗濯場。意外な所で、人から発せられる水分も意外に多いんです。畳は毎日頑張っているんですよ、黙ってますけど・・・(笑)。
 ただ、管理と言っても大掛りな事をする、お金を掛ける、訳では全く無いです。普段から天気のいい日に窓を開け、畳に風をあてるだけで良いんです。いわゆる「風通し」を心がけるだけで放湿効果が期待できるんですね。現在は家の構造の進歩(機密性・断熱性)で、すきま風(自然換気)は無くなり冷暖房効率が向上して快適になった反面、換気の機会・習慣が忘れられつつあり、室内空気の汚れを招き健康被害の原因を自ら作り出してしまた例も少なくないようです。空気の汚れは目に見えませんからね。風通しは畳の為だけに限らず、家全体の為・そこに暮らす人の健康のためにも、欠かせないひと手間なんですね。丈夫で長持ちの秘訣です。もし家に畳が無く換気もしなかったら、室内の湿気は何処へ行くんでしょうね?
梅雨~夏になってあわてて換気するのではなくて、普段からコツコツこまめな換気の習慣が大切なんですね。
換気は気分も爽やかにしてくれるはずですよ!

畳床乾燥殺菌処理機

二代目の畳床乾燥機です。室温85℃~90℃(畳床芯温50℃)で約2時間乾燥します。
現在は畳屋だけにとどまらず、全国の医療機関・宿泊施設等でも、ベッドやお布団の乾燥殺菌に使われるようになっています。
※畳床芯温50℃は害虫の卵までが死滅する温度です。
扉を開け、畳を乾燥室に入れます。一度に12畳まで乾燥できます。お布団の乾燥殺菌も出来るんですね!

畳床乾燥機の心臓部です。

畳床乾燥機の頭脳、制御盤です。温度・時間・熱交換を設定します。1分間に1℃の上昇ペースで優しくゆっくりと加熱しますから、畳本体に負荷を掛けないんですね!

バーナー。私と同じくらいの、熱つ~いハートです(笑)。

畳床の芯温を感知するセンサーです。

畳床に深く差し込みます。畳床乾燥では、芯温が要となります。

熱交換口(ダンパー)です。単に密閉された室内の温度を上昇させるだけでは乾燥機室の空気が汚れます。汚れた空気と新しい空気を常に交換して薬剤に頼らず、常時新鮮な加熱空気で温風乾燥殺菌する熱交換方式を採用しています。

外部から見たダンパー部分です。

これが畳床乾燥殺菌処理機のすべてです。これを踏まえて次稿では、畳床乾燥をする理由や意味についてご紹介して行こうと思います。

注:水害等で大量に水分を吸い込んでしまった畳床の復元は出来ません。。