畳表には、それぞれ特徴があります。

一口に『畳表』と言ってもたくさんの種類があります。産地・品種・栽培方法・地域性・製織方法などによって様々です。当然それぞれに特徴を持っています。先ずは畳表の特徴を知る事が、健康で快適な畳生活を送る入り口の様な気がします。
今稿では大まかな畳表の特徴をお知らせしたいと思います。

画像の右端にある畳表は一般的に使われている引目織りと呼ばれています。イグサ科の草が使われています。座敷や寝室等に真価を発揮、格式や落着き、安らぎが求められる部屋に最も似合い、また求められています。畳表のスタンダードと言えるでしょう。品質のグレードが一番多いのもこの畳表です。品質にもよりますが、育ち盛りのお子様がいたり使用頻度の高い部屋等に使いますと、ささくれは出やすい傾向はあるようです。

次に右から2番目にある畳表は目積織りと呼ばれています。イグサ科の草が使われています。この畳表は次にご説明します琉球畳表から由来しています。琉球畳表の特徴の一つである織り方を手頃な価格で提供しようと、産地が考えイグサ科の草を使って琉球畳表の風合いに近づけた畳表を作りました。それが目積織り表です。よく琉球畳表と思い違いをされている方が多い畳表ですね。草の科目が違いますので、男性的な琉球畳表と比べ女性的な風合いを醸し出し気品を感じさせてくれるのが目積表の特徴です。縁無し畳によく使われる畳表ですね。織りが細かい分、引目織りと比べ若干の傷みにくさはある様です。

右から3番目が琉球畳表と呼ばれている畳表です。この草はカヤツリグサ科の草で七島イと言い、イグサ科の草とは全く違っています。硬くて太い三角形の茎で育つので三角イとも呼ばれます。未だに手織り。そのままでは硬過ぎて畳表に製織できない為、二つに裂いて製織するんですね。その強度に目を付けた講道館の加納師範が柔道畳として使ったほどです。また割と火気にも強く、昔は囲炉裏の周りにも敷かれていた様です。機械化が進み縁付きの畳に押され、一旦はあまり見掛けなくなった時期がありましたが、最近はその素朴な風合いが好まれ復活して来た様です。青みが抜けた頃からの見事な飴色も特徴です。足触りも独特で、縁無し畳の揺るぎないスタンダードですね。その強度から使用頻度の高い部屋に真価を発揮する畳表ですので、個人差はありますが、その風合いは格式のある座敷等には馴染みにくい傾向はあると思います。縁を付ければ価格がグンと下がります。『強度』の実利を一番に求めるなら、琉球畳表の縁付き畳は有効な選択肢でしょう。

【七島イ】(三角イ)

最後に左端にある畳表は沖縄ビーグ表と呼ばれ、イグサ科に属する草です。栃木県ではほとんど知られていない畳表です。【ビーグ】とは、沖縄の方言でい草を意味します。見比べてお判りの様に太くて硬い草です。故に目巾が若干広くしか織れません。また他のイグサ科草と違って泥染(刈り取ったい草に泥を掛ける)をしないので色のバラツキがあり引目表や琉球畳表ほどの青みは望めませんが、とてもとてもアジアンテイスト溢れる特徴を持った畳表で、エスニック&オーガニックな畳表と言えるでしょう。東日本でも確固たるリピーターが存在している畳表です。裸足での踏み心地は格別、ただ靴下で歩くと若干滑り易い特徴もあります。科目はイグサ科ですが、琉球畳表と変わらない程の強度があり、畳屋の包丁が刃こぼれしてしまいます。これは琉球畳表も同じです。沖縄ビーグ畳表は太くて硬い草ですので縁無し畳に出来ない事はありませんが、具合の良い敷き上がりは難しいですね。ある意味、畳屋泣かせの畳表と言えるかも知れません。目巾は広いですが織り方は引目ですから、座敷等に敷いてもおかしくはない様です。琉球畳表と比べても材料代は意外にリーズナブル。天然い草の中で、丈夫で長持ち!を叶えてくれるのは、琉球畳表と沖縄ビーグ表と言えるかも知れません。最終的に節約に繋がるんでしょうね。どちらも上手に使えば一世代で2回の畳替え(新畳もしくは表替え+裏返し)で済んでしまうかも知れませんね。これも畳屋泣かせ?!
最後にもう一点、琉球表と沖縄ビーグ表はゴツイ畳表ですから、畳床が弱っていると張替えが難しい場合がある畳表です。

以上、大まかな畳表の特徴をお知らせ致しました。材料の特徴を理解した上でご自宅の畳の部屋の使い方にあった材料を選ぶ事が出来れば、健康で快適な畳との暮らしが待っていると思います。  
天然い草はホントに好いものです。

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