家を建てる人・造る人。。

お客様から畳替えの依頼を受け、お打合せに行きました。5年前に裏返しをされたので、今回は畳表取替えでした。材料も決まり御見積書を書き始めた時です。
『畳屋さん、もし畳床から新しく替えるといくらくらいになるんだい?実は今使っている畳が硬くて気に入らないんだよ。藁床が良いんだ。この畳、藁床じゃ無いだろ?俺も確かめなかったから悪いんだけど、新築した時そっくり建築屋に任せちまって、頭から畳は藁床だとばかり思い込んでて、5年前裏返しやってもらった時初めて藁床じゃないって判ったんだ。もったいないから、裏返しをやってもらったけど、それ以来ずっと考えてたんだ。大工は何も言ってくれなかったんだ。』
同じようなお話、チョクチョクお聞きします。これは材料が原因では無いんですね。藁床も、藁で無い畳床もそれぞれに特徴を持ったチャンとした材料です。問題はお施主様は畳と言ったら藁床と認識していましたが、建築屋さんの畳標準仕様は藁では無い床だったんですね。ここがすれ違いの基なんだと思います。欲しかった物と実際とが違った、ガッカリ・・・。施主様から任されたからと、建築屋さんは仕様説明を怠ってしまったのでしょうかね。いや、すべてを任されたならば尚の事、畳に限らず細かい建築仕様説明をすべきだったと思います。仕様説明をすれば、もし施主様のこだわりと建築屋さんの仕様のずれが見つかれば共有出来ますし、そこで仕様変更が可能になります。出来あがってからでは・・・。今回のお客様のように、不満を持ちながらの暮らしを強いる事を避けられた可能性はあると思います。
 一方で家をで新築・増改築すると言う事は、施主様にとって一生を注ぎ込む大仕事です。請負主にすべてを任せると言う事は大切な事ですが、建てる前に自らも出来うる限りの勉強をするべきかとも思います。
具体的にどんな家を建てたいか・・・、それが無くて安易に『任せるから』と言われても建て様がないですし、請負主の建てたい様に造られてしまう可能性も出て来るのではないでしょうか?職人はそれぞれ得意分野を持っています。例えば2×4が得意な建築屋さんに本格数寄屋建築を任せれば不満足な家となるでしょうし、逆のケースも同じだと思います。勉強した上で業者を選定して、職人さんとの濃密なコミュニケーションを取らなければならないでしょう。職人さんも面倒くさがらず積極的に情報を開示して、お施主様のご要望・ご質問に耳を傾け職人の立場からの提案をその都度繰り返さなければ、お互いの幸せにはたどり着けないのではないでしょうか?
家を建てる人・造る人、両者が一生嫌な思いを持ち続けるのは、とても悲しい事です。

コメントを残す